最新の家は地震が来ると空中に浮く
僕はマンションの設計や建設、修繕などの仕事をしています。すると建築の中でもマンション向けの知識ばかり目がいくのですが、たまに戸建住宅の技術を診るととても面白いです。戸建住宅は規模が小さくて、個人の建主の権限で新しい技術でもすぐに導入できるので、ときどきビックリする様な技術が開発されたりします。
で、ブログで紹介すると面白そうなネタがないかな?と思って考えたところ「AIR断震」というものを思い出しました。
AIR断震とは、簡単に言うと、地震が来る予兆を検知して空気を放出し、家全体が空中に浮くという地震対策の設備です。
初めて聞くと「家が空中に浮くなんてあり得るの!?」と驚くというか、信じられない気持ちになりますが、すでに実用化されて導入実績もあります。
確かに空中に浮いて地面と完全に切り離されれば揺れが家に伝わることはありません。東日本大震災のときには震度6のエリアに建っていた家でさえ中はまったく揺れなかったそうです。
こんなビックリなシステムなのに、導入コストは従来の免震システムの1/3と安価で工期への影響も少ないと、かなり魅力的です。
このAIR断震は数年前から存在は知っていましたが、建築基準法上はグレーな存在でした。違法建築として摘発されたことはないものの、構造的に現行の建築基準法に適合しているとは言えなかったのです。それが2019年4月に大臣認定を取得し、法的な問題もクリアされたのです。
まぁ、実際には機械ものなので定期的なメンテナンスが必要ですし、導入実績もまだまだ少なく、長期間の使用実績もないのでとにかくオススメってわけじゃありません。でも、「こんなスゴいシステムあるんだ!」って意味では面白いでしょ?
メーカーのサイトでは実証実験動画なども見ることができます。なお、記事中の画像もメーカーのサイトからお借りしました。