吉旦日記

きったんの日記

手品師の営業法(仕事のとり方)

僕がいつも読んでいるブログの中には営業職の方や個人事業主の方が書かれているものがいくつかあります。それでたまに営業(仕事のとり方)の記事を読むのですが、いろんなテクニックがあっておもしろいものです。

僕も昔は個人事業主や会社に所属していても自分で仕事を取っていた時期があるので、いわば営業をしていたことがあります。

といっても僕の場合は手品師というちょっと特殊な仕事だったため、仕事のとり方もちょっと特殊です。でも、自分の知らない世界を覗くのもおもしろいものですし、役に立つかはおいておいて興味がある方もいるかもしれないと思い、記事にすることにしました。

手品師の仕事のとり方、といってもあくまで僕のケースですけど、これはいくつかバリエーションがあります。

一番簡単なのは募集しているところに行くことですね。レストランやバーなどで、なにかお客様を楽しませる出演者を募集していることがあります。この場合は連絡すればすぐに出演可能です。

ただし、そういったところは本物のプロというより、アマチュアやセミプロ、あとは駆け出しの人を使って安くイベントをやるのが目的です。なのでギャラは無いかあってもわずかです。

それでもお客様からチップを受け取るのがOKであれば1日のバイト代程度は稼げたりします。まぁ、そんなことばかりやっていても食える手品師にはなれませんが。。。

演じる場所を確保したら次は手品を見てくれたお客様への営業です。

手品師はレストランやバー、パーティー会場などでお客様の近くにいって手品を見せます。とうぜん自己紹介もしますし、手品をしながらお客様と雑談を交わしたりもします。

そのときにお客様には連絡先やホームページのアドレスを載せた名刺を渡し、興味を持ってくれたお客様には、自分がプロとして依頼を受け付けていることをアピールしておきます。

ただし、深追いは禁物。あくまでお店のサービスとして、食事の合間などにちょっと楽しんでもらうために呼ばれているのです。さり気なくサラッと宣伝する程度にしておかないとお店から追い出されてしまいます。

また、同じような方法ですがお店に入るのではなく大道芸のようなスタイルで芸を見せて寄ってきてくれたお客様に宣伝するというのも有効です。これならお店を気にすることはありませんし、手品のあとにお客様とガッツリ話し込むこともできます。当時これで某テーマパークでの定期出演や、ホテルでパーティーのパンフレットに手品師派遣のオプションを加えてもらうなどの大きな仕事にもつながりました。

あとは手品師以外の芸人さんと仲良くなっておくことですね。ジャグリングだとか、パントマイム、音楽とか。

そうすると仲間内で仕事が回せるようになります。定期的にイベントをひらきたいお店などでの仕事をとると、次は手品以外のイベントをひらきたいという話になるので、その仕事を紹介します。その逆もとうぜんあるわけです。

また、お客様がひらきたいイベントのイメージと自分の芸が合わないと判断したら、それも仲間内の芸人を紹介することができます。

こういうことができるようになると一気に仕事が増えます。

営業に必須のアイテムといえば名刺。いかに名刺を捨てられずにとっておいてもらうかというのも営業では重要なポイントですね。

僕は名刺入れからとつぜん燃えている名刺を取り出し、火を消してお客様に渡すという手品を愛用していました。

この手品では本来、名刺にはこげ跡1つ残さないことがポイントだとされています。そのほうが不思議だからです。でも、僕はあえて少し端っこを燃やして跡が残るようにしていました。そのほうがあとで名刺を見たときに手品のインパクトを思い出してもらえると思ったからです。

このやり方は僕が思った以上の効果がありました。名刺を持ち帰ったお客様が家族や知り合いにその名刺を見せてマジックの話をしてくれたり、SNS(当時はmixi全盛期でした)にアップしてくれたりするのです。そこから僕が定期出演するお店に来てくれたり、波及して仕事を頼まれたこともあります。

こんなやり方で月に20〜30万円、夏休みの時期と年末にはドカンと稼げたりするので、まぁ、なんとか食えるくらいの活動をしていました。

その後、自分でマジックバーを出したら失敗して手品師の世界から足を洗うことになるのですが、それはまた別のお話ということで。。。